エバーブルーテクノロジーズ、帆船型ドローンによる夜間航行の実証実験に成功

エバーブルーテクノロジーズ、帆船型ドローンによる夜間航行の実証実験に成功

〜カメラやソナーによるリアルタイムモニタリング、防犯や捜索、長時間海洋調査を可能とする技術〜

風力をダイレクトに動力として利用した帆走の自動化技術を通して、持続可能な社会の実現に貢献するエバーブルーテクノロジーズ株式会社(本社:東京都調布市、代表取締役CEO:野間 恒毅、以下エバーブルーテクノロジーズ)はこのたび、2mクラス帆船型ドローン「Type-Aプロトタイプ」を用い、逗子湾にて日没から夜間にかけて連続1時間の夜間航行に成功したことをご報告いたします。

<実証テスト概要および結果>
実証テストに使用した「Type-A プロトタイプ」は、2020年に開発した2mクラス無人操船ヨット(帆船型ドローン)の実証機として、これまで機動性テストや滞在型テスト、長時間稼働テストを行ってきました。このたび、有人ではリスクの高い夜間航行を無人操船ヨットで行うことにより、これまで難しかった夜間の密漁対策や捜索作業、長時間の海洋調査などを可能にすることを想定し、神奈川県逗子市逗子海岸にて連続1時間を無人で帆走する実証実験を行いました。

◾実証テスト実施エリア: 神奈川県逗子市 逗子海岸
◾実証テスト概要:
FPV用カメラとスマホのTV会議アプリ(zoom)を利用しリアルタイムに映像を伝送、遠隔操縦者と複数の場所からの遠隔モニタリングを実現。また風向、風速といった海況情報のテレメトリーやソナーによる水深データをロギング。5:30pmから6:00pmの日没をはさみ6:30pmまでの連続1時間を遠隔操縦と自動操縦を適宜切り換えながら無人帆走、方向転換や着岸時は補助モーター動力を併用。

◾​動画リンク

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<実証実験時の海況と実証された概要>

・風向:南東の風(平均148度)

・風速:最大2.38m/s(4.62ノット)平均0.72m/s(1.40ノット)
・艇速:最大 1.88m/s(3.65ノット)平均 0.4m/s(0.78ノット)
・水深:最大1.54m 平均1.02m
・稼働時間:約60分
・予想最大稼働時間:約5時間(バッテリー容量と使用量から計算)
・搭載物:FPVカメラ、スマホ(約0.5kg)、ソナーユニット(約1kg) 合計1.5kg
※風向風速はType-Aプロトタイプ搭載の風向風速センサーから、艇速はGPS情報から取得、水深はソナーユニットから取得
 

<想定する活用イメージ>

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夜間航行の危険性/コスト面でのデメリットを解消
夜間の航行は危険がともない、特に海況の影響を大きく受けやすい小型舟艇やヨットは基本的に夜間航行はできません。一方で夜間に密漁が行われたり、不審船が現れたりしてその対策が求められています。夜間航行に危険が伴うことや、人手不足、人件費や燃油代がかかるといった理由で有効な対応はこれまでできませんでした。

夜間の警備/監視、密漁船や不審船の発見
エバーブルーテクノロジーズの開発する無人操船ヨット技術は、無人で遠隔操縦したり、予め設定した航路を自動で回遊することができることから、これまで難しかった夜間の見回り、密漁船や不審船の発見を遠隔から安全に行うことができるものです。

 長時間の海洋調査/救難・捜索活動支援
このような特徴をもつ小型無人操船ヨットは、遭難者の捜索や長時間に渡る海洋調査でも役立ちます。沖に流されてしまった要救助者の捜索を夜間、広範囲かつ長時間できるのは、風力をダイレクトに推進力にかえる帆船ならではのメリットで、現状で連続5時間、今後大容量バッテリーや太陽光発電の併用などで24時間以上の稼働時間を目指しています。

視認性の高さと低速を生かした安全性の確保
長時間に及ぶ沿岸部の海洋調査において昼間は他船舶や舟艇の往来が多く、自由に移動することが難しいです。一方夜間であれば他船はほとんどないため、安全に長時間調査活動を行うことができます。帆船型ドローンは大きな帆を持ち、ライトアップすることで被視認性が高く、航行速度も低速なので他船からの発見回避も容易です。
長時間の洋上巡回・周囲監視が可能

また長時間に及ぶ航行でも終了後はバーチャルアンカリング(自動で位置を保持する機能)することで流されることなく洋上待機します。これにより夕方に航路設定、自動で夜間航行、朝明るくなってから回収という安全かつ遠隔操縦者にとって負担の少ないワークフローを実現可能です。

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エバーブルーテクノロジーズでは今回の実証実験の成功を受け、帆走性能がより高い高効率型ヨットを利用し、12時間連続稼働実験を2021年秋ごろ実施予定です。また現在開発中の5mクラスヨットを利用し、100kgの貨物輸送実験も実施予定です。飛行型と帆船型ドローンのハイブリッドであるType-Pの研究開発もシンガポール国立大学と共に進めています。

今回の実験に使用したType-Aは、全長2mクラスの無人操船ヨットとしてゼロからデザイン。ヨットレースの最高峰であるアメリカズカップのレース艇や商船設計をてがけるACT金井氏が無人ヨットに最適なトリマランとして基本設計、現役カーデザイナーなど多彩なバックグラウンドをもつ専門家によってリファインして3Dプリンタを利用して造形しました。現在、本格的な導入に向けて量産型の設計を行っています。

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<今後の事業展開>
エバーブルーテクノロジーズでは、自動操船ヨットの製造販売、サービス提供、自動帆走技術提供などを主な事業とし、カーボンフリーな世界の実現を目指します。
将来的には海上の再生可能エネルギー、潮力、波力、風力由来の電力を使用して水素を製造し、エネルギー消費地へ自動運搬する水素エネルギーサプライチェーン「Hydroloop(ハイドロループ)」の実現を構想しています。

今後、陸上交通の電力化で起こる電力不足を解決するとともに、これまで有効な代替手段がなかった動力船のゼロエミッション化を実現するため、水素エネルギーを利用した電気推進船への転換促進、水素エネルギー補給を海上で実現させるサービスを展開する計画です。


<エバーブルーテクノロジーズ>
[会社名]エバーブルーテクノロジーズ株式会社
[代表者]野間 恒毅(のま つねたけ)
[設 立]2018年12月
[本社所在地]東京都調布市緑ヶ丘二丁目67番地1号フェリーチェ緑ヶ丘A2
[活動拠点]葉山、逗子海岸、二宮漁場、シンガポール、ホノルルなど
[事業概要]自動航行で動くヨットの開発、設計、運用、製造販売及び関連サービス
[事業背景] エバーブルーテクノロジーズは、従来の動力船を自動操船技術による効率的な自動帆走に置き換えることで、地球温暖化ガスを抑制し、持続可能な社会の実現に貢献することをミッションとしています。

近年、あらゆる産業で地球温暖化防止のための施策が求められていますが、海上を舞台とする産業ではいまだ内燃機関が主力であり、決定的な方策が打ち出されていません。
また陸上交通の電動化による将来的な電力不足も予測される中、国土の狭い日本では太陽光発電による電力供給に限界があることから、波力、潮力、地熱、風力といった海上の再生可能エネルギーの活用が注目されています。
しかし海中送電ケーブルの敷設コストの高さや、動力船を電気推進船に置き換えるための大型バッテリー積載容量、重量、充電時間確保といったハードルから、海上の再生可能エネルギーの活用も現実的ではありません。
一部では水素を使った燃料電池の活用が有望ともいわれていますが、そのためには低コストで水素を大量に用意する必要があり、実現には時間がかかると考えられています。

私たちはこのような課題の解決策として、産業革命以前の海上交通で活用されていた帆走に着目しました。
海上の再生可能エネルギーを水素に変換して自動操船ヨットで運搬することにより、海上水素サプライチェーンを構築し、動力船をゼロエミッションの帆船または電気推進船に置き換えていく未来を目指しています。こうしたビジョンのもと、2019年より全長1mクラスのRCヨットモデルを改造した実証機での自動操船実験を開始。運用化に向け、2020年には2mクラスの実証機を開発、実証実験を進めています。

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