
Interviewing and writing : C.E Shinji Katagir
らじつう編集部がメーカーさんに直接質問を投げかける
「らじつう編集部がメーカーさんに聞いてみた」
注目の製品についてメーカー担当者に直接、ウェブサイトの商品説明よりも
深堀した内容をらじつう編集部が聞いていきます!
今回は番外編として第64回静岡ホビーショーの取材中にお伺いした、注目度が高いタミヤ ポルシェ934、TRF421Xについて、タミヤ開発担当の方に伺ったお話を切り出してお伝えいたします。
数年ぶりのタミヤツーリングカーのフラッグシップモデルとして登場したハイエンドツーリングカー・TRF421の後継となる421Xや、50周年記念モデルとなるポルシェ934について、らじつう編集部が聞いてみました!
※取材の中で伺った様々なお話の中から、ポルシェ934、TRF421Xに関する部分だけを会話形式にて編集部がまとめた形でお届けいたします。実際にお話いただいた方の発言そのままではありませんことをご注意ください。
今回お話を伺ったのは?:

第64回静岡ホビーショー タミヤブース タミヤ開発担当者様
らじつう編集部がメーカーさんに聞いてみた!
番外編1「タミヤ ポルシェ934」

50周年記念モデルとしてはもちろん、実車さながらのリア縦置きモーターによるRRドライブ構造で注目のポルシェ934ですが、これはブランニューのシャーシなのでしょうか?
はい。もちろんブランニューの設計です。50周年記念どういうものがいいか?を社内でいろいろと議論して、特別カラーであったり、一回限りのモデルをなどアイデアはいろいろ出たのですが、記念モデルだから1回限りではなく、通常販売モデルとしてつくることや、どうせやるなら完全新規で記念モデルにふさわしいことをやろうということになりました。
なるほど。このモデルは限定モデルではなく通常販売モデルなんですね?
はい。通常販売モデルになりますので、初回出荷分は大変好評をいただいていることもあり、入手しづらいという話も聞いておりますが、すでに追加生産の手配をしておりますので、順次お届けできる予定です。
それはユーザー目線ではとてもうれしい情報ですね!ちなみに、リアモーターでリア駆動という実車さながらのレイアウトになった経緯を教えていただけますか?
50周年記念でポルシェ934をやろうとなったので、それなら構造含めて再現してみよう!というところからスタートしました。純粋に性能を追い求めるならこのレイアウトが有利ではないですが、記念モデルらしい、タミヤらしいモデルにするなら!?と開発陣もとても楽しんで作っていったモデルです。
なるほど。しかし、サスペンションは従来通りなんですね。
どうせならサスペンションもストラットにしよう!という話もあったのですが、そこまでやってしまうと、走行性能を確保するのが難しいという点と、単純に開発期間も足りなかったということもあり、シンプルなダブルウィッシュボーン式となりました。
ここまでお伺いすると、性能よりロマン!というモデルであることがすごく伝わってきます。なお、そういう観点ではこれ、逆にしてドライブシャフトを工夫するとFRになりませんか?
そうですね。理屈で言えば可能ですね。今回はポルシェ934を再現するということが目的だったのでRRですが、今後、このモデルの派生で色々なモデルがでてくる可能性は否定しませんよ。
なんだか意味深ですが、構造にこだわったロマンあふれるモデルを楽しみにしています!
番外編2「タミヤ TRF421X」

TRF421で大幅な構造変更がされてから2年、ついにアップデート版が登場ですね。
前回、421ではサスペンションを刷新したこと、それに伴って各部を新設計にしたことで、他社のハイエンドツーリングカーに負けないベース性能は得られたという実感を得てきたのですが、毎年アップデートされる他社と対等に戦えるよう、細かなアップデートを試行錯誤してきました。それらを全部詰め込んだのが今回の421Xになります。
細かな変更点はタミヤライブでも詳細に語られておりましたが、421では動きがひっかかると話題になった、サスペンションのアッパーアームの取付部分の調整機能がはいったのが目につきました。
タミヤというメーカーが提供するモデルなので、ハイエンドツーリングカーとはいえ、ランニングコストを考えると樹脂製というのが第一選択肢であるので、今回もサスペンションは上下樹脂製となっており、421で話題になったアッパーアームも形状をリファインして、さらにおっしゃるとおり取付の調整機能を追加しました。最初からそうしておけば・・・と言われるところですが、樹脂を金型で製造する際の様々な要素を読み切れないところが当時はあったこともあり、今回調整機能をいれております。
一部でアッパーAアームの一部を切断するというユーザーさんもいたようですが、調整機能によりそれも必要なくなるということですかね?
あのアッパーAアームの一部を切断してしまうと、アーム自体の剛性・強度が足りなくなってしまうので、切断することを設計者としては推奨しているものではないですし、必要から生じた構造なのであるべき形であるべき動作をするように421Xでは調整機能を入れたということですね。
なるほど。こういう細かいリファインの積み重ねなんですね。ちなみに421はカーボンシャーシで、421Xはアルミシャーシである理由はどんなところでしょうか?
タイヤやパワーソースなどが変わってきたというのが大きいですね。421を出した段階では、多くのユーザーにとってカーボンがよいという考えだったのですが、モーター位置を下げたかったり、タイヤが変わってきたりで、様々な要素を検討するとアルミこそが最適だという結論になった次第です。
なお、他社では鉄シャーシも流行していますがそれは採用されないでしょうか?
正直、鉄シャーシはとても速いモーター限定では有効だとも実感しておりますが、それ以外の速さであったり、タミヤというメーカーが責任をもってクオリティーをそろえて提供できるという意味でも、アルミという選択肢がベストだと考えています。
なるほど。そういう意味でTRF421 Xはどんな人たち向けのモデルと言えるのでしょうか?
そうですね。一握りのトップドライバーでなくても、それなりの腕の人なら世界の上位にも食い込めるようなベース性能が高い、扱いやすいツーリングカーを目指したモデルですね。
なるほど。万人にというわけではないですが、ミドルクラスからハイエンドへと移ろうというユーザーに安心してオススメできるモデルというところですかね?
ちなみにこの421Xを組み立てる際に、取説にはないチェックポイントはありますか?
そうですね。スタビライザーについて少しお話します。説明書ではスタビライザーはガタなく取り付けるように記載しているですが、実際にレースで使用する際には爪1枚分ぐらいガタを作ってセットアップするところかはじめています。
なんと!これはどんな効果を狙ったものなのでしょうか?
スタビライザーはロールのコントロールというのは誰もが認識しているのですが、あくまで個人的な意見としてはピッチングのコントロールにも寄与しているという認識なんです。なのでロールのみをコントロールするのではなく、ピッチングをコントロールする意味で、あえて取付にガタを持たせているという次第です。
なるほど。スタビライザーのセッティングにもそんな奥深さがあるんですね。
もちろん、路面や状況によるので絶対正解ではないですが、スタート時点をガタのあるセッティングから始めているというのが設計者からの組み立てるポイントの案内になりますね。
なるほど。これはこれからTRF421Xを手にする方には有用な情報ですね!ここまで今回の421Xについてお話を伺ってきましたが、2年後はどんな新モデルがでてくる構想でしょうか?可能な範囲で教えてください。
正直に言えば、どうしようか考えているという段階なので、具体的なことは言えないのですが、現時点の感覚ですと、421でベース構造を刷新して、421Xで磨きあげたつもりなんですが、このベース構造はまだまだ磨く余地があるなと感じています。他社モデルももちろん見ていますが、ダンパーが外なのか?内なのか?シャーシの構造材は?などポイントとしての話題は多いですが、大枠の構造的な話はもう行きつくところまできてるようにも感じています。421はタミヤというメーカーが実現できる世界基準の要素はすべて詰め込めたツーリングカーになっている自負もありますので、もう1世代421をベースとしてさらに磨き上げた車を作りたいなという構想はあります。421Xも開発期間ギリギリまで試行錯誤を進めたので、実際やり残しはあるんですよね。
次は刷新ではなく、更なる進化・・・ですかね。なお、一部のハイエンドツーリングカーのような現行構造とは違う新しい構造を取り入れるということではないんですね。
結局、重量やセッティングの幅、扱いやすさなど、タミヤというメーカーが発売するツーリングカーである以上、あまりトリッキーなものは取り入れづらいということもありますが、設計者として大幅に構造を変えたことのメリットがあまり見えていないのもあります。いろいろ試作もしていますし、テストもしていますが421Xの構造がベストであるというのが現時点の認識ですね。
複合要因ということですね。いつものモデルライフサイクルだと次は2年後でしょうかね?どんな車がでてくるか楽しみにしておきます。
開発者としては421Xも通過点であると考えています。また、原材料費の高騰であったり、様々な要素が絡み合って、価格も高額になってしまういう背景もありますので、その価格に見合った多くの人が速く走ることができるハイエンドツーリングカーの開発を進めてまいります。
今回も興味深いお話ありがとうございました!
編集後記
今回は第64回静岡ホビーショーのタミヤブースで伺ったお話の中から、ポルシェ934、TRF421Xの部分だけを切り出してお伝えいたしました。ポルシェ934は「走る走らないより楽しいと感じるモデル」を目指したこと、また開発陣の皆様も作っていてとても楽しいモデルだったというコメントが印象的でした。
また、ハイエンドツーリングカーTRF421Xについては時代に合わせた進化モデルでもあり、まだ発展途上なのかな?という印象を受けました。このプラットフォームはまだ可能性があるんですよという担当者の方のコメントから、次なるハイエンドツーリングカーがどんなものになるかとても楽しみです。
なお、世界情勢含めた様々な要素による価格の高騰は避けれれないところであり、メーカーとしても様々な工夫をされていることも今回の取材で痛感しました。
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